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怪談 その2

2010年09月09日

 怪談といっても、宮部みゆきさんの小説のことです。読売新聞に連載されていた「三島屋変調百物語事続」が、「あんじゅう」という題で出版されました。
 私も、連載中は、毎日楽しみにしていました。そんなおどろおどろしい怪談というわかではなく、でもこの世との境界をこえた、物の怪や不思議なできごとを、主人公のおちかさんが、「黒白の間」という部屋でききだしていく・・・、というお話です。

 この世にありえないような話でも、宮部さん独特の、的確な人物描写、心理描写のおかげで、ほんとうに実在するのではないかというように、引き込まれていきます。
 おそらく丹念な取材から書きあげた現代のサスペンスものもすばらしいですが、時代ものもとても面白くて、わたしは、この方は、小説界の阿久悠さん、と形容してもいいのではないかと思うくらい、たくさんの引き出しをもっている方だと思います。
 また、南伸坊さんの挿絵も、妙に味があって、雰囲気を演出しています。

 これから、やっと秋の夜長。眠りにつく前に、しばしの「宮部ワールド」へ。おすすめです。